アーティスト 2017年02月23日17時03分

おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」


おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」

 情報番組『噂の!東京マガジン』(TBS系、日曜・午後1時~)のエンディングテーマとして2016年10月~12月まで流れていた『心に咲く名もない花』(テイチクエンタテインメント)を歌唱しているシンガー・おがさわらあい(36)が2月16日、東京・新橋のフォーク酒場『落陽』で、ライブを行った。

 おがさわらは、父が三味線演奏家で母が民謡歌手という、音楽に囲まれた環境で育った。04年11月、ヴァイオリンとヴォーカルの女性ユニット『つきよみ』でデビュー。3枚のシングルをリリース。2007年つきよみ活動休止。ソロとして活動を開始。彼女の声が持つ独特の世界観と表現力を生かした「新東京フォーク」という新たなジャンルを確立すべく全国のフォーク酒場でライブを展開する。2010年秋、ソロ初のミニアルバム『あんた・・・』を発売。2015年1月にフルアルバム『サクラ知れず』を発売。そして、2016年11月16日テイチクエンタテインメントより『心に咲く名もない花/ピアノ』でソロとしてメジャーデビュー。

 50~60人ほど入った満員のフォーク酒場。「フォーク」というだけに、自分で楽器を弾く音楽愛好家やフォーク世代といわれる年配の方など、40代から60代の男性が主流を占める。一部女性ファンや夫婦で観覧に来たファンもいるが、さしずめ、おじさまたちのアイドルといったところか。

 3人のバンドメンバーがスタンバイした後、「あいちゃーん」と掛け声がかかる中、やや照れ気味にステージに登場。女優の吉田羊や檀れいのような顔立ちの可愛いらしい女性がハイチェアに座ると、いきなりパンチの効いた歌声が大迫力で響いてくる。

 続いて、FMラジオでもよくかかり、全国のフォークファンに楽曲がカバーされている『サクラ知れず』では、拍手とともに「いい曲だねぇ~」と、声が飛ぶ。

 高音の気持ちいい伸びが耳に心地いいと思っていると、3曲目のソロとしてメジャーデビューとなった『心に咲く名もない花』では、一転、弾むように軽く明るいトーンで歌う。

おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」

 曲と曲の間には、「皆様のおかげで、おがさわらあいが昨年からメジャーになりました。ありがとうございます。何が違うのかなぁと思っていたんですけど、応援してくれる方がウワッと増えて、私もビックリしております」などと、曲ふりをかねた短かめのトークでファンたちを盛り上げる。

 ソロ活動から3年、「来年は歌えているのかなぁ」と、思いながら歌っていた時に、有線お問合せチャート連続1位を獲得するなど、メジャーデビューへの足掛かりとなった曲の『あんた・・・』になると、また、声質も歌い方も一変する。

 歌によって顔の表情だけではなく、声までも変わる。明るい曲と暗めな曲で声が違うことはよくあるけど、親子や家族のことに関する歌のときは子供っぽい声になる。高音でも、細い声と太い声、ファルセットとわざとかすれさせる声と、声の出し方を意識的に変えて歌っている。

 それはまるで歌詞の世界を歌で演じているような印象だ。もっといえば、彼女の声と表情(特に目の表情)、自然なちょっとした手振りをみていると、その歌詞の内容が見えてくるようだ。魅せる音楽!観せる音楽!と言ってもいいぐらい。

 そんな歌い方に聞き入って圧倒されていると、お酒大好きで毎日飲むという酒豪のおがさわらが、「きょうのお酒もおいしそうだなぁ。名前呼ばれたい方、おがさわらにおごってくれる人」と、ファンに呼びかけ、今日初めてライブを見に来たお父さんが指名された。

 まさにフォーク酒場でのお父さんとのワンシーンを切りとったかのような歌詞の『なんかいい夜のブルース』で、会場全体が盛り上がる。せりふや掛け合いなど、おどけた歌い方で、これまた、今までとはガラッと変わった歌い方をする。いったいいくつ引き出しがあるんだろう・・・。そして、最後はグラスをもって、みんなと「かんぱーい」と掛け声が上がる。続いて、『残暑ブルース』でも、手を左右にふるなど、ファンを巻き込んでの大盛り上がり。

おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」

 最後のアンコールの曲では、「どうしても曲の途中に歌えなくて、どうしても一番最後の曲になってしまいます。私の家族は父、母、兄がいます。両親は他界しています。民謡も大人になってから再開したけど、やっててよかったなぁと思います。一人ぼっちにならなくてよかったなぁと思います。この声があって・・・」というと、涙ぐむ。「あいちゃん、泣かないでー」と、声がかかる。ハンカチで涙を拭いて・・・アンコール曲の『おとん』を。

 笑いあり、盛り上がりあり、そして、最後はしんみりと涙ありと、内容が濃いライブだった。

 おがさわらは、全国のフォークソング酒場を中心にライブ活動をしているが、それは、「新東京フォーク」という新たなジャンルを確立するため。

 その新東京フォークとは、「ヴォーカリストおがさわらあいとプロデューサー田村武也が作り出す主に東京を舞台にした純文学ラブソング。1曲1曲の歌詞に短編小説のような物語があり、それは日常のなかで人と人とがふれあうことの大切さや儚さ、あるいは寂しさ、辛さをテーマにどこかせつなく、どこか懐かしいメロディを基部とした読む音楽である」という世界観。

 おがさわら本人は、「生活の中の身近なことを歌っているのがフォークかな。人の心に一番近いのがフォークかな。聴いてくれた人が感じてくれればいい」と、シンプルに言う。

 ライブを観て、強烈に印象に残ったのが、7色の声のように高音だけでも3種類以上を使い分け、家族のことを歌う時は子供っぽい声で歌う。それは歌い分けというよりも別人が歌っているかのようなほど、ガラッと声が変わること。

 顔の表情、身振り、声の出し方、変え方は、歌詞を読みこみ、歌の世界に入り込むのかと聞いてみると、「無意識な部分もあります。だいたい曲のイメージがデモテープを聴いた段階で、こう歌いたいと決まります。この歌にはこの声だろうというのはインスピレーションです。音入れしているときに、(歌詞の主人公の)年齢的には(声を)上げてもいいかなぁ。今のままでは世界が暗すぎるかなぁと、声の調節はします。ですから、全く別の人が歌っているみたいなのは当たり前なんです。声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではない気がするんです。この子そんな経験してきたんだなと思わせたら勝ちかな」と、意図的にやっているのだが、それは作りこんでいるわけではなく、インスピレーションというから驚きだ。

おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」

 CDを聴くのとライブでは、同じ曲でも全く違う印象でした。やはり、歌いこんでいくと、歌は変化していくものなのだろうか?
 「『あんた・・・』は、いまCDを聴くと(歌い方が)子供だったんだなぁと思います。いつもライブ来てくださる方が、有線で『あんた・・・』が流れた時におがさわらあいの成長を感じましたという書き込みをいただいたことがあるんです。いい意味で、歌手として歌が変わってきていいんじゃないかと思えてきた。前はちゃんと歌わなきゃいけないと思っていたんですけど、今はもっとフランクに考えています。ニュアンスの方が絶対重要で、もうちょっと上あがった方が気持ち良い声なのに、いまのままで全然その世界が完結しているなら、それが正解かなと。人生経験を重ね、歌っていくことで、磨かれていく。声が丸くなっていく。太くなってくる。声の種類が増える。引き出しも増えるし、歌い方も変わるのかなぁと、思います。
 『あんた・・・』は、新大久保駅のホームから落ちた人を助けようとした韓国の留学生の方がなくなった悲しい事故がきっかけとなってできた曲です。最初のうちは私も悲しい曲なのではないか。どうやって表現しようかと思いながらアルバムを出しました。でも、歌っていくうちに、残された人は一所懸命その人のことを思いながら生きていかなければいけない。だから、その人が生きていくために応援になるような『あんた・・・』を唄っていきたいと思うようになりました。また、『残暑ブルース』はもはや、最初どう歌っていたかと思います。本当に手探りの部分もありましたので」と、人生経験を積み、歌詞への理解度や解釈の仕方で、感情のコメ方が変わるという。

 憧れの歌手は、「高橋真梨子さんとテレサ・テンさん大好きです。美空ひばりさんも中島みゆきさんも大尊敬しています。その人の声で世界が成り立っている人の方が最近は、もっと好きだなぁと思ってます。テレサ・テンさんの歌を聴いていると、画が浮かんでくるんですよ。30代でですよ。いいなぁと思います。どんな経験をつんだらそうなるのか」と、みな歌に表現力がある方たちばかりを挙げた。

 ソロとしてのメジャーシングル『心に咲く名もない花/ピアノ』について、「いままでは男女がいて、出会いや別れ、ドロドロにフラれる女の歌ばかり歌ってきました。今回はソロでのメジャーデビューということで、幅広い人に聞いてもらいたいという思いから、明るくて親しみやすい曲にしました。家族と幸せがテーマです。結婚することや恋人同士になるという結果よりも、あの人に会いたい、この人の喜ぶ顔が見たいなど、誰かを思っている気持ちが大事。そういうことが心に重なって重なって咲いた花が幸せなんですよ」と、想いを語った。

 フォーク酒場について、「歌があって、お酒があって、いろんなことを教えてくれるんですよ、お父さんたちは。その人の人生や人となりが見えるので、勉強にもなるし楽しいです。大好きな場所です」と、ホームグラウンドとしての安心感を口にする。

 最後に今後の目標を聞くと、「『NHK紅白歌合戦』に出たいと、昔よりもリアルに思うようになってきました。目標ですと軽く言うのではなく、全然、何もないところからやって、リアルに応援してくださる人が目に見えて、温度を感じるようになったので。そして、私が、紅白に出ることで、その方たちが、ちょっと俺たちも頑張ろうかなと思ってくれたら」と、力強く語った。それは、育ててくれたファンの方たちへの恩返しでもあるのだろう。

 おがさわらあいレコ発ライブ
 『日曜日思い出堂~うた詠み~』
 5月25日 東京・渋谷のマウントレーニアホール開催決定!
 詳細はおがさわらあいオフィシャルホームページにて

 

おがさわらあい 7色の声と表情で歌詞の世界を可視化するシンガー!「声、歌詞、曲が一緒になっていないと作品ではないきがする」